日本におけるクリスマスケーキの歴史

日本では不二家がはじめてクリスマスケーキを販売

クリスマスになるとどこの家庭でも食べるクリスマスケーキは、もともと日本の風習にはなかったものです。
クリスマス自体がキリスト教の行事で、日本には明治21年頃からクリスマスグッズが輸入されるようになりました。

日本の物語にサンタクロース初めて登場したのは、明治33年のことだったと言われています。
子供用の教材に書かれた物語は、8歳の男の子が旅行中のおじいさんを助けてあげたところ、そのおじいさんがクリスマスイブにたくさんのプレゼントを持って男の子に会いに来たという話です。
おじさんが男の子に宛てて書いた手紙には、「北國の老爺 三太九郎」という署名が見られます。

三太九郎というのは、言うまでもなくサンタクロースのことです。
明治39年のクリスマスイブの日に発刊された新聞の広告にはサンタクロースが登場していますので、この頃にはすでに、かなりポピュラーだったことがわかります。

輸入食品を販売する老舗として知られている明治屋では、昭和5年のクリスマスの飾り付けに「MERRY XMAS」という文字を登場させています。
クリスマスケーキもこれと前後して登場しました。
明治43年に不二家が発売したのが日本で最初のクリスマスケーキで、当時は冬にはハウス栽培のイチゴが手に入らなかったため、シンプルなデコレーションとなっているのが印象的です。

大正から昭和にかけてクリスマス商戦が始まる

クリスマス商戦が始まったのは大正から昭和にかけてのことで、以後、クリスマスケーキやクリスマスプレゼントは日本の各家庭にとって欠かせないものになります。
クリスマスケーキも冷蔵庫が普及した昭和40年代には生クリームが多く使われるようになり、今のような苺を飾った生クリームのショートケーキが主流になっていきます。

大正から昭和にかけてクリスマス商戦をスタートさせたのは不二家、明治屋の他に三越や帝国ホテルなど、現在でも活躍している老舗ばかりです。
大正天皇が12月25日に崩御してこの日が「大正天皇祭」として休日となったことも、クリスマス商戦に拍車をかけました。

80年代後半から始まったバブルの時代には、何十万円もする宝石などのクリスマスプレゼントを贈る人も増え、フレンチなどのレストランで豪華な食事を楽しむ人もたくさんいました。
クリスマスの時期はちょうどお歳暮やお正月とも重なることもあり、現在でもクリスマス商戦は盛んです。

ちなみに日本で最初にクリスマスのミサが行われたのは1549年のこと、カトリックの宣教師フランシスコ・ザビエルが日本に上陸した年です。
その後、1552年にも別の宣教師が山口県でクリスマスのミサを行ったという記録も残っています。
キリスト教国で行われるクリスマスのミサは、キリスト教徒でない人たちにも開放されています。

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