クリスマスにまつわる植物

モミの木は古くから魔除けとして使われていた植物

クリスマスというのはキリスト教の行事ですから、クリスマスにまつわる植物もキリスト教の聖典である聖書に出てくるものとの関連性が考えられます。
キリストの生誕を祝うクリスマスといえば、東方の三博士が誕生のお祝いに没薬と乳香をプレゼントしたことが知られています。
没薬と乳香は紀元前6000年のエジプトですでに神への捧げものとして使われていたようですから、非常に古い歴史を持っていることがわかります。

キリスト教が広く流布しているヨーロッパでは、クリスマスツリーというとモミの木が使われることがほとんどです。
モミの木は冬至の魔除けとして古くから珍重されてきた植物で、主に北ヨーロッパでクリスマスの季節に飾られていました。
寒さの厳しい北ヨーロッパでは、常緑樹そのものがお守りの役割を果たしてきました。

現在のようにモミの木がクリスマスツリーとして定着したのは、聖ボニファティウスによるものといわれています。
8世紀にドイツを中心にキリスト教の布教に努めていた聖ボニファティウスは、電神トールが宿るとされている巨大な樫の木に一人の少年を生贄として捧げようとしている人たちと出会いました。
聖ボニファティウスは樫の木を切り倒して生贄を止めさせたところ、そのすぐそばの場所からモミの木が生えてきました。

それ以来、モミの木は魔除けのために使われるようになったのです。
モミの木のてっぺんに飾られる星はベツレヘムの星で、モミの木をデコレーションする習慣は宗教改革者であるルターが始めたということです。
モミの木は11月頃から店頭に出始めますし、IKEAでも毎年モミの木の販売を行っています。

ポインセチアやヤドリギなどもクリスマスに好んで使われる植物

クリスマス用の鉢植えとして欠かせなくなったポインセチアは、メキシコが原産で、クリスマスに飾られるようになったのは比較的最近のことです。
赤と緑のコントラストが美しいポインセチアはメキシコでは「ノーチェ・ブエナ(クリマスイブ)」という名前で呼ばれています。
日本では「クリスマスフラワー」と呼ばれることもありますが、明治時代に輸入された当時の名前は「猩々木(しょうじょうぼく)」でした。

日本ではあまりなじみのないヤドリギも、イギリスではクリスマスに飾られるポピュラーな植物のひとつです。
ヤドリギはブナやクリなどの木に寄生して栄養を得る植物で、30〜100cmぐらいの球体を形成します。
北欧神話やケルト人の伝説に登場することの多いヤドリギには、古代から特別な力が宿っていると考えられていました。
もうひとつ、クリスマスローズの名前で知られているヘレボルスもクリスマスには欠かせない花として人気があります。

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